英国議会「日本の環境対策」に冷やかな感想

2007年09月08日

英国議会「日本の環境対策」に冷やかな感想
~木内孝氏、英国上・下院250名に講演~

 環境政策を指導してもらっている木内孝氏が、今年3月英国の上・下院の国会議員250名の前で60分日本の現状報告、35分間質疑に答えられました。日本に届いた英国から感想は、3つ課題が書かれていました。
(1)気候変動問題に就いて日本国民に関心を持たせる事は容易ではない。
(2)日本政府は気候変動問題に対する強い意志に欠ける。
(3)京都議定書の約束が終わる2013年以降の目標を日本は必要としている。
正に英国を、そして欧州を見習えと言わんばかりの3つのメッセージだった。
 その強いメッセージの根拠は、1月下旬に訪英した安倍首相が、ブレア首相と対談した折、ブレア氏が気候変動問題の対する反応があまりにも弱かったことも有り、3つの課題が浮き彫りとされたそうです。木内氏は、英国議員と直接意見を交わし、「日本の首相の気候変動の知識は、英国の小学生程度」と極評する議員といたとその印象語られいました。
安倍首相は、英国訪問から帰り、映画「不都合の真実」をご覧になり、急いで勉強されている印象を持ちます。そのせいか発言が、弱冠は変りつつ有りますが、説得力が弱いと感じます。
 2008年7月の北海道のG8サミットのメインテーマは、「環境サミット」の方向になりそうで、今日のアジア太平洋会議のテーマも「環境問題、特に温暖化」のことが話題になっているようです。来年のサミットで、開催国の日本は温室効果ガス削減の長期目標を事前に発表する必要に迫られていると、木内氏の報告から感じます。
 この内容は、財務省の広報誌「ファイナンス8月号」に詳しく書かれています。

木内氏から国民への8つの提言(ファイナンス8月号転載)
 日本が無責任、先送り、無関心な国との烙印を押され、世界の舞台からジワジワ引き下がりつつある事は事実として受け止めざるを得ない。
 大切な事は、(日本)社会に充満する欺瞞、仮装、誤魔化しを払拭し、経済的価値や損得だけに振り回されない、落ち着いた正直で、親切で、勤勉が善しとされる国創りに邁進することである。英国国会で多くの英国国会議員と対話をして得た思いまとめた、8つの提言である。(抜粋)

提言1 激しい気候変動が起るまで、或いは化学的に実証するまで待っている時間的余裕がない事を、そのように国民に伝えるかが真っ先に問われる。

提言2 誰でも地球はビクともしないことを知っている。人類を含む生物は、この壊れやすい「薄い幕(大気圏)」のお蔭で生かしてもらっていることを知り、我々67億人の人類は今までの様に行け行けドンドンの活動が続けられていられない事に、目覚める必要がある。

提言3 CO2を6%削減しようと呼びかける前に、本当の66~67%の削減が必要と言う全体像を示そうではないか。明確な目標も示さずに活動を抑制する事は成果に結びつかない。(欧州を越える提言で、世界をリードする)

提言4 2050年までにCO2の50%削減方針では、国民をシラケさせる。目標を2015年、2020年に、長くても四半世紀内に置こう。

提言5 20年前の日本のリーダーの言葉から、「日本の問題は企業の経営者を高く評価し過ぎる事だ。」言行不一致、本気でない企業トップに頼る社会通念を反省し変えよう。

提言6 言いもしなかった事を言ったと主張する有名人、妥協の結果発表される声明の背後の状況、真意が伝わらない日本にしては、世界の動きが分からない。波風を立てない、真実を言わないメディアに変わる報道機関が何故必要か、根拠のない報道を戒め、国際機関の発表の裏にうごめく力を知る方法を考える。

提言7 気候変動に最も悪い影響を与えるのは戦争、テロ、紛争である事をハッキリ国民1人1人が認識する運動が必要だ。平和なくして環境問題はけっして解決しない事を日本国民の常識にしよう。

提言8 EUは勿論の事、世界の20ヶ国に近い国々は、自国の進む道を示すロード・マップを持っている。国によっては4年毎に刷新している。曖昧な表現や、景気や国民総生産・GDP等の経済指標偏重の指針では、国民の心を動かすことは出来なくなって来ている。京都議定書が定めた約束が始まる2008年の出発の年にした「日本国の進むロード・マップ」作りを提案したい。 

以上が、木内孝氏からのメッセージです。このロード・マップの考え方は、国を県、市、地域と読み替えて、そこに関わる住民が参加し考えることが必要と思います。地域(国)の未来は、自分たちで考えることが、グルーバルな時代だからこそ、急務になっていると考えます。
 近未来、2015年、2020年の社会をより良きものにするために、之を読んでいただいた方は、自分の住む地域に関心を持って欲しいと願います。2400年前に、ギリシャのリーダー、ペリクレス言葉に、「地域に関心を持たない者は、゛閑な人゛と呼ばず、我々は無益な人と呼ぶ」と訓示しています。
 社会に関心を持ち、考え、社会活動に参加することが必要な時代と思います。初めは、自分に出来る事から少しづつ参加頂ければ幸いです。

*参考資料:木内孝著「連載提言:世界の環境行政と国家戦略」(財務省広報誌「ファイナンス」より)  

Posted by ノグチ(noguchi) at 08:37Comments(0)国際関係