(現場と工夫)紛争の原因は社会の不公正(緒方貞子)
2008年09月27日
(現場と工夫)紛争の原因は社会の不公正(緒方貞子)
退任近い時期の緒方氏のインタビュー記事を読み、難民問題は机上の空論で判断していけないと痛感させる言葉がたくさんありました。
(本文)
「政治を越えた安定感というものがある社会とつくらないと、本当の安全とか繁栄とか安定とかいうものにはならないんじゃないかなというのが私の最近の感想です。政治がガタガタしても動かない社会が必要なんですよ。アメリカの今の選挙(フロリダ州の得票をめぐって法廷で争われた2000年大統領選挙)を見ていても、あんなにひどい話はめったに聞きませんけども、誰も動かないでしょ。政治を越えた安定感があるんですよ。日本もそうかもしれません。
それにはいろいろな要素が必要だと思いますよ。仕事をすれば報われるという経済的な原理も必要でしょうし、弱者が虐げられない社会正義、正義の配慮というものも必要でしょう。だから社会保障の問題は非常に大事だと思います。
といっても今度は逆に、何も仕事をしないで保障だけで生きていけるというような、そういう甘えの社会でもいけない。やはり進歩していかなきゃならないんですから。
貧困の撲滅は大事ですけれども、それで平和が来ると思ったら間違いだと思います。貧困がなくなると、社会的な安定が出てくるということは、ちょっと違うんですよね。社会正義、社会的な公正、そういうものが同時に進んでいかないと平和は実現しません。社旗的な公正さは非常に大事だと思います。私が見てきた紛争の多い国家において、あるいは地域においては、社会公正という問題が非常に大きかったと思いますね。逆に言うと、それが保証されないところに紛争が起きるのです。
ボスニアは、まあまあ沈静化してきているんだと思います。危険がなくなったわけじゃないけれども、非常な苦しみを越えて、そしてあらゆる不正儀を越えて、何とかやっぱりいっしょに暮らさなきゃならないという気持ちが出はじめているんだと思うんですね。私としては、これだけ旧ユーゴスラビアに関わりましたから、山を越えたかなという気持ちはもっているんです。
やっぱり工夫を重ねていけば、完全にいい結果じゃなくても、何かが出てくるのだと思うのですね。それが私たちのチャレンジ(挑戦)ですよ。こういう仕事をしてきて、何か新しい解決法はないだろうかと絶えず考える癖がついてしまいました。工夫することですね。いつも状況をただ受け入れているのでは、この仕事をしている価値がない。絶えず工夫していって、その中からいろいろなものを生み出していく。その意味では、まだまだいくらでもやれる余地はあると思います。
こういうことはすべて現場の実態を知っているからわかるのであって、抽象的に考えてやっているんじゃないですよ。書類を読んで勉強するんじゃない。人間とのふれれあいでみんな学んでくるんですから。
現場へ行かないで抽象的に考えたものは、本当には効果がないですね。現場がわかるから、そういうことが出てくるのです。それが私どもの組織の力だと思いますよ。現場感というものね。『現場』というのは、うちの組織のキーワードでしょうね」(中略)
「緒方貞子―難民支援の現場から」序章の一部のアフリカ・ウガンダの難民担当大臣の言葉が掲載されいました。
(本文より)
この未曾有の10年(2002年時点)、難民を支援する国際機関のトップ・国連難民高等弁務官をつとめてきたのが、緒方貞子さんである。緒方さんは、これまでの常識を打ち破って、新しい難民支援の枠組みをつくりあげた。その卓越した手腕と見識は海外で高く評価されている。日本国内では、アフガニスタン視線政府代表となってからむしろ有名になった感があるが、海外での名声は過去10年のたゆみない活動から生まれたものである。
ジュネーブで取材中、UNHCRの執行理事会に集まった各国の大使にインタビューを求めると、先進国・途上国を問わず緒方さんの退任を惜しむ声が返ってきた。わざわざカメラの近くに来て自分も何か話したいという人もいる。ふつうの取材では経験しないことだ。
アフリカ・ウガンダの難民担当大臣はこう言った。
「任期中に31回もアフリカを訪れた高等弁務官が過去にいたでしょうか。後任の人がこの記録を破ってくれることを願っています。緒方さん、たとえ政治問題であっても、難民の命がかかるっていると知ると躊躇無く大胆に交渉する人でした。私たちにとって、緒方さんはいつも『そこにいた』のです」
いつも、そこにいた。それはまさに、難民高等弁務官としての緒方さんの姿勢そのものを表す言葉である。(中略)
世界の貧困問題、紛争・戦争は、ニュースの中で有っているのでなく、現地で人が戦っていることを常に忘れないことが、一般の人びとも忘れてはいけないことだと思います。
昨日、日本の新内閣の世論調査が出たのですが、麻生太郎首相は「世論調査を気にしない」との発言をしたそうですが、国民感情から掛け離れた自民党内の「総裁選挙」で、祭り上げられた三代目の政治家の言葉なのだろうと思います。
同じ三代目の国際政治家の緒方貞子さんと比較して、麻生氏の「現場主義でない内向き傾向」が見え隠れします。政治も紛争も、現場で起きているだと思います。政治家は、国民の思い(要望)に優先順位を付ける仕事と考えています。
緒方さんの海外の評価「いつも、そこにいた」と、
インタビューの「『現場』というのは、うちの組織のキーワード」
これこそ、社会の不公正を改善する政治の第一歩だと思います。
*参考資料:東野真著「緒方貞子―難民支援の現場から」
退任近い時期の緒方氏のインタビュー記事を読み、難民問題は机上の空論で判断していけないと痛感させる言葉がたくさんありました。
(本文)
「政治を越えた安定感というものがある社会とつくらないと、本当の安全とか繁栄とか安定とかいうものにはならないんじゃないかなというのが私の最近の感想です。政治がガタガタしても動かない社会が必要なんですよ。アメリカの今の選挙(フロリダ州の得票をめぐって法廷で争われた2000年大統領選挙)を見ていても、あんなにひどい話はめったに聞きませんけども、誰も動かないでしょ。政治を越えた安定感があるんですよ。日本もそうかもしれません。
それにはいろいろな要素が必要だと思いますよ。仕事をすれば報われるという経済的な原理も必要でしょうし、弱者が虐げられない社会正義、正義の配慮というものも必要でしょう。だから社会保障の問題は非常に大事だと思います。
といっても今度は逆に、何も仕事をしないで保障だけで生きていけるというような、そういう甘えの社会でもいけない。やはり進歩していかなきゃならないんですから。
貧困の撲滅は大事ですけれども、それで平和が来ると思ったら間違いだと思います。貧困がなくなると、社会的な安定が出てくるということは、ちょっと違うんですよね。社会正義、社会的な公正、そういうものが同時に進んでいかないと平和は実現しません。社旗的な公正さは非常に大事だと思います。私が見てきた紛争の多い国家において、あるいは地域においては、社会公正という問題が非常に大きかったと思いますね。逆に言うと、それが保証されないところに紛争が起きるのです。
ボスニアは、まあまあ沈静化してきているんだと思います。危険がなくなったわけじゃないけれども、非常な苦しみを越えて、そしてあらゆる不正儀を越えて、何とかやっぱりいっしょに暮らさなきゃならないという気持ちが出はじめているんだと思うんですね。私としては、これだけ旧ユーゴスラビアに関わりましたから、山を越えたかなという気持ちはもっているんです。
やっぱり工夫を重ねていけば、完全にいい結果じゃなくても、何かが出てくるのだと思うのですね。それが私たちのチャレンジ(挑戦)ですよ。こういう仕事をしてきて、何か新しい解決法はないだろうかと絶えず考える癖がついてしまいました。工夫することですね。いつも状況をただ受け入れているのでは、この仕事をしている価値がない。絶えず工夫していって、その中からいろいろなものを生み出していく。その意味では、まだまだいくらでもやれる余地はあると思います。
こういうことはすべて現場の実態を知っているからわかるのであって、抽象的に考えてやっているんじゃないですよ。書類を読んで勉強するんじゃない。人間とのふれれあいでみんな学んでくるんですから。
現場へ行かないで抽象的に考えたものは、本当には効果がないですね。現場がわかるから、そういうことが出てくるのです。それが私どもの組織の力だと思いますよ。現場感というものね。『現場』というのは、うちの組織のキーワードでしょうね」(中略)
「緒方貞子―難民支援の現場から」序章の一部のアフリカ・ウガンダの難民担当大臣の言葉が掲載されいました。
(本文より)
この未曾有の10年(2002年時点)、難民を支援する国際機関のトップ・国連難民高等弁務官をつとめてきたのが、緒方貞子さんである。緒方さんは、これまでの常識を打ち破って、新しい難民支援の枠組みをつくりあげた。その卓越した手腕と見識は海外で高く評価されている。日本国内では、アフガニスタン視線政府代表となってからむしろ有名になった感があるが、海外での名声は過去10年のたゆみない活動から生まれたものである。
ジュネーブで取材中、UNHCRの執行理事会に集まった各国の大使にインタビューを求めると、先進国・途上国を問わず緒方さんの退任を惜しむ声が返ってきた。わざわざカメラの近くに来て自分も何か話したいという人もいる。ふつうの取材では経験しないことだ。
アフリカ・ウガンダの難民担当大臣はこう言った。
「任期中に31回もアフリカを訪れた高等弁務官が過去にいたでしょうか。後任の人がこの記録を破ってくれることを願っています。緒方さん、たとえ政治問題であっても、難民の命がかかるっていると知ると躊躇無く大胆に交渉する人でした。私たちにとって、緒方さんはいつも『そこにいた』のです」
いつも、そこにいた。それはまさに、難民高等弁務官としての緒方さんの姿勢そのものを表す言葉である。(中略)
世界の貧困問題、紛争・戦争は、ニュースの中で有っているのでなく、現地で人が戦っていることを常に忘れないことが、一般の人びとも忘れてはいけないことだと思います。
昨日、日本の新内閣の世論調査が出たのですが、麻生太郎首相は「世論調査を気にしない」との発言をしたそうですが、国民感情から掛け離れた自民党内の「総裁選挙」で、祭り上げられた三代目の政治家の言葉なのだろうと思います。
同じ三代目の国際政治家の緒方貞子さんと比較して、麻生氏の「現場主義でない内向き傾向」が見え隠れします。政治も紛争も、現場で起きているだと思います。政治家は、国民の思い(要望)に優先順位を付ける仕事と考えています。
緒方さんの海外の評価「いつも、そこにいた」と、
インタビューの「『現場』というのは、うちの組織のキーワード」
これこそ、社会の不公正を改善する政治の第一歩だと思います。
*参考資料:東野真著「緒方貞子―難民支援の現場から」
「家業」政治家:マスコミ先導(扇動)型、首相に軽薄の傾向あり
2008年09月27日
「家業」政治家:マスコミ先導(扇動)型、首相に軽薄の傾向あり
今日は、記事の紹介のみ・・日本のリーダーは、これで良いのですか?
国民に権利を守る政治家は、限りなく少ない日本の政界、
変化ないことは、凋落へ兆しと思える、私の考えは取り越し苦労になれなければ良いにですが・・、アメリカ依存(ぶら下がり)政治から、脱却しないと、親がこけたら、皆こけたらにならなければ良いなと、心配しています。
1.吉田首相の継承「家業」政治家の行く末は、歴史が検証する
■支持率「あまり興味ない」=麻生首相(時事通信社 - 09月26日
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=618822&media_id=4
~「国民の無視」老舗と経済重視、支持率の意味を忘れ~
2.自民党の政治家は、家業ですね!
~国民への目線は、幻想でした~
■<小泉元首相>引退に「チルドレン」ショック隠せず
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=618238&media_id=2
■<小泉元首相>次男を後継に 「やはり人の子」「がっかり」(毎日新聞 - 09月25日
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=618291&media_id=2
>小泉氏、「自分は27歳で衆院選に初挑戦した。次男も27歳。しっかりやれるはずだと思う」と支援を要請した。
>郵政民営化研究会元事務局長の松沢成文・神奈川県知事は「小泉さんは派閥政治を否定し、日本政治を変えようとした。世襲政治にも一線を引く潔さがあれば株が上がったのではないか。やはり人の子だったのか」と苦笑いしながら話した。
フリープロデューサーの木村政雄さんも「次男を出すのは、ちょっと待ってよという感じ。小泉氏は既成の政治家にはまらない格好良さがあったが、なんだアンタも普通の人かとがっかりした」と話した。
~「劇場政治家」新奇性と軽薄のマスコミ型、小泉チルドレン置き去り型~
今日は、記事の紹介のみ・・日本のリーダーは、これで良いのですか?
国民に権利を守る政治家は、限りなく少ない日本の政界、
変化ないことは、凋落へ兆しと思える、私の考えは取り越し苦労になれなければ良いにですが・・、アメリカ依存(ぶら下がり)政治から、脱却しないと、親がこけたら、皆こけたらにならなければ良いなと、心配しています。
1.吉田首相の継承「家業」政治家の行く末は、歴史が検証する
■支持率「あまり興味ない」=麻生首相(時事通信社 - 09月26日
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=618822&media_id=4
~「国民の無視」老舗と経済重視、支持率の意味を忘れ~
2.自民党の政治家は、家業ですね!
~国民への目線は、幻想でした~
■<小泉元首相>引退に「チルドレン」ショック隠せず
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=618238&media_id=2
■<小泉元首相>次男を後継に 「やはり人の子」「がっかり」(毎日新聞 - 09月25日
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=618291&media_id=2
>小泉氏、「自分は27歳で衆院選に初挑戦した。次男も27歳。しっかりやれるはずだと思う」と支援を要請した。
>郵政民営化研究会元事務局長の松沢成文・神奈川県知事は「小泉さんは派閥政治を否定し、日本政治を変えようとした。世襲政治にも一線を引く潔さがあれば株が上がったのではないか。やはり人の子だったのか」と苦笑いしながら話した。
フリープロデューサーの木村政雄さんも「次男を出すのは、ちょっと待ってよという感じ。小泉氏は既成の政治家にはまらない格好良さがあったが、なんだアンタも普通の人かとがっかりした」と話した。
~「劇場政治家」新奇性と軽薄のマスコミ型、小泉チルドレン置き去り型~