他人に苛つくことは、自分自身の理解に役立つ(ユング)
2009年03月22日

他人に苛つくことは、自分自身の理解に役立つ(ユング)
私は、臨床心理学の河井隼雄氏の著書から色々な自分を理解するヒントをもらっています。その河井氏が敬慕した、スイスの心理学者のカール・グスタフ・ユングの言葉が、
「他人に接して苛つくことは全ては、自分自身の理解に役立つ」
ただ読んだだけでは意味不明ですが、解説を読むとなるほどと思った。ユングは、深層心理について研究し、分析心理学の理論を創始した人です。以下、上記の言葉の解説が「世界の名言100選」ありました。抜粋を紹介します。
(本文より)
・・、単に精神病者ばかりでなく、健康な一般人でもその無意識の中には、まさに神秘的な不可思議な深層心理がかくされている。
普通、人は社会生活をしているうちに、他人の行動や発言に苛つくことが多い。なぜそうなるのかというと、他人の行為や言動のおかげでおのれの願望や真髄の発露が甚(はなはだ)しく妨げられるからである。・・(中略)人間は普通外部からの衝突を避けるため、仮面(ペルソナ)をつけて生きている。(中略)
ユングは、「人が自分の措かれた時代や環境の支配的傾向に反逆して、ペルソナをかなぐり捨てて本性を発揮するのは危険きわまりない」としつつも、「場合によっては、本性を発揮した者が実益を受けることもある」と述べ、いたずらにペルソナに固執するばかりで、前向きに活動しないことを戒めている。(以上、解説から)
(例)50年間精神病院に入院していた女性の患者が、長年、常に靴を縫うような仕草をし続けていたそうで、それは発病前に彼女を捨てた、かつての恋人(靴屋)の動作を真似たものだったと判明した。(中略)
こんなきれいな事例ばかりでなに、人類の無意識の中には、ヒトラーやスターリン的な凶暴性すら隔されていることが判明している。
人の心に在る、様々な潜在意識は、以外に日常の感情を左右する心の発露(感性)に影響を与えているのかもしれません。
>いたずらにペルソナに固執するばかりで、前向きに活動しないことを戒めている。
仮面をかぶり続ける人生が、ひょっとするとほとんどかもしれませんが、たまに自我を素直に出せることの、心の開放に必要なのかもしれません。
*参考図書:金森誠也監修「世界の名言100選」
<ユング・参考資料>
・カール・グスタフ・ユング(Carl Gustav Jung、1875年- 1961年)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A6%E3%83%B3%E3%82%B0(Wikipedia)
~スイス、精神科医・心理学者~
>特に当時不治の病とされた分裂病(統合失調症)の解明と治療に一定の光明をもたらした。スイス・チューリッヒにユング研究所を設立し、ユング派臨床心理学の基礎と伝統を確立した。