聖火リレーと中国報道、五輪後の中国

2008年04月27日

聖火リレーと中国報道、五輪後の中国


■聖火ソウルへ出発、妨害などの逮捕者6人に(読売新聞 - 04月26日)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?id=472770&media_id=20


 平和リレーのはずのオリンピックの聖火リレーが、中国の国内対立で大きく印象を変えつつあるように思います。元々聖火リレーは、戦前のナチスが、国家意識を高めるために始めたのですが、戦後の日本の平和状況からすると、その開始の意味を忘れていたように思います。

 オリンピックは、国家力を世界にアピールする最大のチャンスと思います。3年前の秋に、北京で開催されたシンポジウムに行く機会があったのですが、北京中心部の発展だけを見ると、「中国はすごい!」と思いますが、都市部のある領域をこえると、日本の昭和30年代の風景と、都市周辺部の低層で密集した住宅地が広がっていました。

 いずれ、国民総生産(GDP)でも、世界経済に大きな担い手であり、無くてはならない存在になっています。次に、担って欲しいのは、民主化の方向では無いかと思います。今、権力も富も、共産党がコントロールしています。一党独裁、国家元首に権力が集中し、チベット問題だけでなく、隠され、蓋をされて来た問題が、今回のオリンピックという国際イベントで、中国国民も少しづつ矛盾に気付いて行くと思います。

 中国の報道官の顔を見て来て、オリンピック開催の決定の時の輝く顔つきから、だんだん笑顔が消え、緊張感と使命感が漂っているように思います。「なんとしてもオリンピックを成し遂げたい」思いが、報道官の表情からも受け取れます。

 問題は、オリンピック後の国民意識です。オリンピック後、万国博覧会が開催されると言う事ですが、益々中国が開放され、世界の情報の波にさらされます。国民意識のはけ口は、いずれ一党独裁の共産党への要求に変わるのは、世界の歴史を見れば理解できます。 中国の安定は、今後の東アジアの安定につながる重要な問題です。オリンピック後に進む中国の民主化が、21世紀前半の世界の安定の要因であるように思いました。

 今回の日本政府の聖火リレーの対応は、市民の沿道の応援はありませんでした、大きな騒乱にならず、中止、コース変更もなく、予定通りに実施されたことは、評価できると思っています。長野市民、そして長野県警のみなさんの努力に敬意を評したいと思います。


  

Posted by ノグチ(noguchi) at 09:02Comments(1)国際関係