ただ俸禄を受けるために主君に漫然と仕えているだけではいけない

2012年06月29日

ただ俸禄を受けるためだけに主君に漫然と仕えているだけではいけない(山鹿素行)

~人は、人格と修養、人物の時間軸を加えて評価される~

おはようございます。今日は、視察調査で出かけるので、朝の日記だけになります。
長文ですが、ご意見をいただければ幸いです。

ここ2日間は、民主党の分裂、調整が、ニュースを独占。これは、果たして政界の真 の姿か不明だが、ニュースの視聴率を見ると、小泉淳一郎氏が「改革の邪魔をするものは自民党でもぶっ潰す」と息巻いたことを思い出す。

ニュースは、こんな話題が好きだなと思う。ただ政府のお金(予算)は、経済の米と言われる。国会が延長され、予算決定がずれ込む。冷え込んだ経済が、なかなか浮上できない。

政治家は、国会外の時間に費やす事も良いが、日中の国会審議は着実にこなしながら、民主党内の政局に対処して欲しいものです。

そもそも政治家、代議士は何をする役目かを考えてみた。江戸期の兵法家の山鹿素行が、上手く説明をしている。武士を政治家に読み変えてみるとわかり易い。

笠谷和比古氏の著書に『武士道、サムライ精神の言葉』の一節に、山鹿兵法の山鹿素行の教示があった。

(以下、転載)

「士として其の職分なくんば有るべからず。職分あらずして食用足しめんことは遊民というべし」(『山鹿語類 士道編』)

〈意味〉
武士たるものはただ俸禄を受けるためだけに主君に漫然と仕えているだけではいけない。漫然と仕えている武士は職にもつかずのらくら遊んでいる「遊民」と同じ。

山形素行は、「武士は、自分の職分を果すために、常に、道義的人格形成をしなければならい」と説く。その士道には、心術と道義を守らなければならない。

心術とは「大丈夫たる気性」(健全な気性:何ごとにもぶれない理念)を養うこと。
中身は、度量、志気、温籍、風度の四つである。
*注:風度は、現代の日本では聞きなれないが、古代中国の人格評価に使われた。

度量:天下の一大事も動じない器量と力量。
志気:些細なことを気にせず高い志を持つこと。
温籍:温和で包容力のある心を持つ。
風度:卑屈で卑しい風情を見せないこと。

この四つを修養するには、内面を正す事が必要と、山形素行は説く。

一、義理を弁ずる心:利を捨てて義を生きること。
二、天命に安ずる清廉の心:義に生き惑うことなく経済的にも潔癖に生きること。
三、正直の心:親疎貴賎によらず改めることは改め、糾すべきことは糾すこと。
四、剛操の心:強く志を持ち、変わらない道義心をもつこと。

また素行は武士の心の待ち方の要点として「自戒」をあげている。
言葉、視聴、行動、飲食、衣類、住居、持ち物などもなるべく慎むようにすることが、威儀を高める。このように心身を謹慎すれば、威儀の高い、思慮深く分別のある武士として人倫の指導者となることができると説く。
(以上、笠谷和比古著『武士道、サムライ精神の言葉』より)

江戸期は、士農工商の身分制度があった。武士は、ただ地位にあるだけでは、庶民は尊敬しなかった。人物の素養、人格、言動を、直接話はできないが、様々な情報や、時々見かける本人の素行を見て、評価したようだ。「君主(武士)は船、庶民は池。
池が荒れれば、船は揺れる」の故事があるように、日頃の言動が大事と思う。

現代は、武士を政治家に読み替え、今回の民主党騒動の検証を、国民一人ひりがやっていると思う。ましてネット社会、日々の政治家の言動が、現場感覚でタイムリーに伝わる時代になった。この人物評価は、一般市民も同様で、日常の行動そのものが、評価されていると思うことが必要だ。

人は、人格:度量、志気、温籍、風度の四つと、修養:義理を弁ずる心、清廉の心、正直の心、剛操の心の四つ。加えて、その人物が生きてきた時間軸を加えて検証される。政治家は、衿を正して国政の問題に対処して欲しい。

*参考資料:笠谷和比古著『武士道、サムライ精神の言葉』~節義の心得~


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Posted by ノグチ(noguchi) at 06:35│Comments(0)名言・スピーチ・訓示・他
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