「あなた方は、すでにあなた方の行為によって、報われているのかもしれません」〜チョーレッチ氏(ユーゴスラビア前大統領)〜

2021年11月13日

「あなた方は、すでにあなた方の行為によって、報われているのかもしれません」〜チョーレッチ氏(ユーゴスラビア前大統領)〜

(長文です。お時間あるときにお読みください。)

ユーゴスラビア内戦の混乱の中、若者たち共に暉峻淑子(てるおかいつこ)さんは、支援物資を届けるために、現地で奔走し、来ないトラック、預けた物資を盗まれたり、さまざまな困難はあれど、59ヶ所に自ら訪問して回った。その時同行した若者たちは、感じたことは何だったか。

(以下、『豊かさの条件』より抜粋)

 難民キャンプでは、鉛筆1本でさえも貴重品で、子どものノートを見せてもらうと、几帳面な字で上から下まで紙面いっぱい、1ミリの隙間ないように、びっしりと字が書きこまれている。紙なんかゴミ同然にあつかっている日本の子どもを思うと、胸が熱くなってしまう。
 学生達も病院で涙ぐみ、難民キャンプで涙ぐんで、夜になっても誰も口をきこうとしなかっこともあった。
 いざ、ユーゴを引き上げる間際に、前大統領で作家のチョーレッチ氏がきてくれたこともある。
「私達が困難のどん底にいるときに、遠い国から来て、助けて下さったことを永久に忘れません。私はもう老人ですが、いつかきっと若い人達が、あなた方に恩返しをしてくれると思います。もし内戦が続いて、その日がなかなか来ないときは、私達に代わって、神様がきっとあなた達に恩返しをしてくださるでしょう。いや、あなた方は、すでにあなた方の行為によって、報われているのかもしれません」
(以上、本より)

少し長い引用ですが、前大統領の言葉に、行動する意味を学んだ気がします。

学生たちの感想から

「自分はいままで何のために勉強しているか分からなかった。でも私達は待たれているのですね。待っている人達のために、これから真剣に勉強しなくては」

「いままでの自分の価値は偏差値で決まるものだと考えていました。でもそうじゃない。もっと人間として別の価値がある自分にあるのだと思います」

「試験の点数が他人よりよかったとか、大学に合格したとか、そういう喜びとはちがう喜びがあることを知りました」

「日本人の習慣とか行動様式を基準にして、ユーゴ人をみると、イライラしたけど、世界にはいろんな生き方があるのだから、どんな異文化に出会ってもビクともしないような受容力のある人間になりたい」

以下の他にも、示唆のある言葉が続く著書を、たまに開くと、忘れたことを思い出します。志の大切さ、学ぶ姿勢は、いくつなっても必要ですね。

*参考資料:暉峻淑子著『豊かさの条件』