(8月の疑問)自分を知るための学問~学は覚なり~

2009年07月26日

(8月の疑問)自分を知るための学問~学は覚なり~

語り学び合う場「心養塾」 

<2009年8月 討論題材>

「自分を知るために学問~学は覚なり~」

 中学生を過ぎるころ、「自分とは何んだ?」と疑問を持つようになります。 

宇宙の大きさを想像し、その広がりが理解を越え、夜空を見て眠れない。

 自己のぶつかり合いで、友人と喧嘩したり、非難したりする。

 この「自分とはなんぞや?」の疑問は、一生続く人生の課題であり、思考の素となります。

 自分、私、俺、吾、・・・・・、己とは何か、何のために生まれて来たか?
この命題は、いにしえ(昔)から、問い続けられてきた言葉(疑問)と思います。

 「心養塾」の最初の疑問は、この「自分とはなにか、何のためいるのか」について語りたいと思います。 私は、この答えを持ち合わせていません。また、それぞれは生きる目的が違います。昔の哲人は、この疑問にどんな答えを見つけたのでしょうか?

 昭和の哲学者、安岡正篤氏の解説から、心学と言われる「陽明学」の先覚者、中江藤樹の教示から、学びたいと思います。参考資料、安岡正篤緒「人生と陽明学」から転載。

(本文)
 一体人間の存在、その生活というものは、これを大して言うならば人間の文明というものは、先ず人間が本当の自分に反って自分を役立てる、ということの上に立たなければ空々寂々であります。

 藤樹先生が殊に研鑽された『孟子』の中の名高い一語にも、「君子は必ず自ら反る」と言っておる。これは大事なことであります。先ず自らが自らに反る、自分が自分に反る。そこからはじめて本当の生(せい)、生きるということが生ずるのであります・
 ところが大抵に人間は、いろいろ欲望もあるし、外の刺戟も多くて、なかなか自分に反れない。ともすれば自分を忘れて物を追う、外に馳せるのであります。

 例えばなにか物を考えながら道を歩いておって、ついうかうかして石に躓(つまづ)いたとします。その時ハッとして、自分が迂闊(うかつ)だったと気がつけば、その人は正しい。

 ところが大抵はそうは参りませぬ。こんちくしょう!とばかりその石を蹴飛ばす。尚その上に、どうかうすると、どいつがこんなところへものを置きやがったのだ!と今度は人まで責めて、自分がうっかりしておったことははなから考えがないものです。(中略)

 ・・、学んでも覚めなければこれは学ばざるに等しい。藤樹先生は、先ず自ら反って覚ろう、という事に懸命に取り組まれたわけであります。
  (以上、安岡正篤著「人生と陽明学」)


 自分の生きる目的を、物(モノ)や、地位、財、に求めている間は、自分がなにか分からない。自分が生れたのは、母が有り、父があり、祖母があり、祖父があり、その命の連鎖の中で、居ることは現実です。
 しかし、何故、日本か?、なぜ今の時代か?、・・・、誰がこの世に送り込んだか、?????、意外に、今居ること時代を自覚する人は、少ないと思います。

 こんなバカな意見交換を、真剣にする人が、既に2,500年前から、ギリシャ、中東、インド、中国に居たのです。その一人が、ソクラテス、イザヤ、ブッダ、孔子、等々の賢人(哲人)達です。

 その疑問を解く、問答は現代に十分通じるものがあります。そんな言葉を、読みながら、自分がこの世に生を受けた意味を考える事は、生きる「バックボーン」も見つけ出すことにつながり、この世の役割を探す手立てになると思います。

~学は覚なり~ 
 自分を知るための学問を、心養塾の最初の課題であり、ずっと根底で語り継がれる疑問と思います。学問は、疑問を気づくことから始まると思います。
 もし興味があれば、「まず疑問を投げかけてください」、そこから人生の扉を開く、準備が始まると思います。

*参考資料: 安岡正篤著「人生と陽明学」


同じカテゴリー(哲学、人生)の記事画像
高宗昭敏先生の活動を振り返る。熊本地球市民塾から「横井小楠と維新群像」建立まで
政治家の市長と、政治家の市議との活動の比較を指摘した、素晴らしい質問と思います。
老いを楽しむ3人の女性と評論家・樋口恵子さんの「7つのご機嫌のヒント」
いろんなお話を聴かせていただいた中村青史先生のご逝去を知り、生前の姿を思い出します。
の「編集後記」は、私が担当でした。ロシアのウクライナ侵攻と8月15日の終戦記念日について書きました。
<オミクロン株、ピークは早い?>自分の思い通りにならない時でも、投げ出してはいけない。(菜根譚)
同じカテゴリー(哲学、人生)の記事
 文明社会には、青年には青年の、老人には老人の、貢献するべき余地がある。〜渋澤栄一〜 (2025-03-07 06:03)
 <消費税3%→5%直前の激務>乗り越えれない試練を天は与えない。 (2025-01-27 06:20)
 <前途多難、日々新たに>算数(計算)通りにならない人生。〜曽野綾子著『中年以後』〜 (2025-01-03 21:03)
 <人の時のアセス>愚直に生きた夏目漱石、その思考は『老子』を参考にしていた。〜半藤一利〜 (2024-09-25 05:29)
 信じれば実現する。「独立する。家を建てよ。著書を出せ」と日々イメージする。〜中村天風〜 (2024-09-17 07:49)
 高宗昭敏先生の活動を振り返る。熊本地球市民塾から「横井小楠と維新群像」建立まで (2024-07-26 09:16)

Posted by ノグチ(noguchi) at 07:24│Comments(0)哲学、人生
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。