「ペシャワール会」アフガニスタン、灌漑水路25.5km完成

2010年02月09日

「ペシャワール会」アフガニスタンに、灌漑水路25.5kmを完成。

~一緒に「行動」することが、平和を実現することにつながる~

 今朝の共通信配信記事に、アフガニスタンで活動するNGO組織「ペシャワール会」が、灌漑用水路25.5kmを完工させたと報じていた。温暖化や内戦の影響で、水の確保は難しくなり、農地へ、耕作放棄地を潤すために、2003年3月から工事を開始した。
 途中、日本人スタッフの伊藤和也氏が、誘拐され殺される事件もあったが、代表の中村哲氏が一人残り、現地スタッフ600人と共に、最後の5.5kmの工事を終えた。

 中村氏は、完成の式典で次のように世界へ訴えた。

「国際社会は武力でアフガニスタンに平和をもたらそうとしているが、これは解決策ではない。豊かな水がこの国に平和をもたらすという模範となることを望む」
 
 私は、帰国された中村哲氏の講演を2度聞く機会があったが、医師でありながら、当初はハンセン病の治療のため現地での活動が始まったが、社会基盤の脆弱が社会不安の原因と気付き、井戸や用水路建設に活動が変わったことを知った。

 高い志が根幹と思うが、平和という理想を訴えるだけでは、実現が難しいと中村氏の活動を聞く中で感じる。世界のリーダーは、軍事力で抵抗勢力を抑え込むことを考えているが、仕事が無い(できない)から、用兵になる。農業や商業で生計が立てば、紛争の現場に行く苦難はなくなるように思います。

・共に働く事が平和
 かつて日本の明治後期から、戦禍を潜ってきた国民ですが、戦争を体験し、戦後の平和も経験した昭和の批評家、小林秀雄氏が、平和のついて書いた文章があります。小林氏は、「私の人生観」の中で、平和活動に関わる人を評していました。

(本文)
 思想のモデルを、決して外部に求めまいと自分自身に誓った人、平和という様な空爆たる観念の為に働くのではない、働く事が平和なのであり、働く工夫から生きた平和の思想が生れるのであると確信した人、そういう風に働いてみて、自分の精通している道こそ最も困難な道だと悟った人、そういう人々は隠れてはいるが到る処にいるに違いない。(以上、「私の人生観」17‐196)

 ペシャワール会の活動は、自衛隊のPKO活動と違って見えるのか、日本のテレビはなかなか報道しない。
 私の同級生のフリーのジャーナリストが、アフガン紛争間近の現地に入って、種族の領袖と何度か語ったことを話してくれました。

「もともと民族間の境界とは、現代の国境では動いていない。第2次大戦が、戦勝国が勝手に線を引いた。現地の状況に合わせて、自治を認めることが必要と思う」

 現地の状況を肌で感じる活動をする中村代表の言葉と、小林秀雄氏の文章が重なって見えてきます。

>平和という様な空爆たる観念の為に働くのではない、働く事が平和なのであり、働く工夫から生きた平和の思想が生れる

・ユニセフ活動
 行動そのものが「平和」かも知れないと思えてきました。私自身は、国際貢献や現地で活動をするという行動はできないですが、地元のユニセフの活動にちょっと顔を出すことぐらいが私の「行動」です。

 しかし地方でのユニセフ活動ですが、アフリカの青年たちと一緒に「行動」していることが、平和を体験することにつながって行くように感じます。ユニセフの活動に、高校生や大学生、さらには中学生が多く参加していることに、とても力強く感じます。

>隠れてはいるが到る処にいる

目立たなくとも、世界で苦しむ人々に思いを馳せて、足下で活動している人たちがたくさん居ることを知ってもらいたくて、記事を紹介しました。

「ペシャワール会」
http://www1a.biglobe.ne.jp/peshawar/

・ペシャワール会『ウィキペディア(Wikipedia)』
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%9A%E3%82%B7%E3%83%A3%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%83%AB%E4%BC%9A



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Posted by ノグチ(noguchi) at 18:44│Comments(0)平和
 
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