真の文明は、山を荒らさず、河を荒らさず、人を殺さざるべし
2008年06月27日
真の文明は、山を荒らさず、河を荒らさず、村を破らず、人を殺さざるべし(田中正造)
メールマガジンで川辺川問題を語る「川辺川ML」に書いた、日記に質問がきました。
内容は、明治期に起きた「公害」である足尾鉱毒事件の解決に奔走した田中正造の事に質問が来ました。何かの機会ですので、返事を転載します。
<質問内容>
野口様
田中正造についてお尋ねしたい事があります。
それは、豊かな生活を投げうって民衆のために奔走した田中正造の、亡くなったときの持ち物に「名も無き路傍の石」が数個あったと聞きました。民衆のために私財を全部投じ、極貧の中に身をおいた田中正造にとって、この石がどのような精神的支えになっていたのか、です。個人的見解での解釈を(簡単に)お願いしたいのですが。
<質問の回答>
おはようございます。 熊本の野口と言います。
メッセージありがとうございました。
>田中正造についてお尋ねしたい事があります。
今、小松裕氏を囲む「田中正造研究会」に参加して、田中正造と友人たちとの間で交わされた手紙を基に、田中正造の考えの展開、発展を勉強しています。
>それは、豊かな生活を投げうって民衆のために奔走した田中正造の、亡くなったときの持ち物に「名も無き路傍の石」が数個あったと聞きました。
>民衆のために私財を全部投じ、極貧の中に身をおいた田中正造にとって、この石がど個人的見解での解釈を(簡単に)お願いしたいのですが。
先週土曜日の輪読の中で、出て来たのですが、次の言葉を紹介します。
(本分より)
庭田源八宛書簡 明治32年12月3日
・・・鉱毒事件この度、請願の大要ハ、人を殺すな、渡良瀬川の水を清め、すべての天産を復活せよ、と云ふ。にあり。その他ハ皆この中に含める趣旨ニテ、右天産と水ト人殺しの三箇条二過ぎず候。(中略)
鉱毒事件で古河、国に求めた3つの要求は、
・人を殺すな
・渡良瀬川の水を清め:水をきれいする
・天産(天の恵み)を復活する:元の農地に戻す
今の水俣病の問題と良く似ています。また次の一文から、田中正造の志(思想)が、少し理解できると思います。
(本分より)
井田兵吉宛書簡 明治33年1月21日
・・・。依ってこの問題は全く人に尽くすにあらず、天に尽くす問題の候。つまりは晴天白日の時にも至り申候間(あいだ)、かねて難儀の御覚悟こそ御大切に候。但し天産論より推せば、沿岸の損害は数億万円にも登り申候。(中略)
依ってはそれまでのところ、貴下我々には天より命令を受けて、それこの鉱毒問題に当たるものなり。実は人生必用の必用中の義務なり。これに当たりて倒る々との本分なりとせば、また壮快に覚え申すべく候。貴下必ずこの壮快を覚ゆるものなり。(中略)
田中正造は、篤農家に生まれ、生活苦はなかったものの、本文にあります「全く人に尽くすにあらず、天に尽くす問題」からも判るように、至誠一貫の理念を基にする行動した良心の人ではなかったと推察しています。
先週の勉強会でも意見が出たのですが、維新・明治期の志士の代表格の西郷隆盛の座右の銘と言われる「敬天愛人」は、同じ思いを伝える言葉ではないかと思います。
田中正造、「天を敬い、人を愛する」、これを生涯実践した人だったのではと考えてます。
「これに当たりて倒る々との本分なりとせば、また壮快に覚え申すべく候」
武士(農民)の本分と言うか、志のような気がします。
先週の勉強会中、小松裕氏とのやり取りの中で、成田空港の滑走路に農地を持つ方の話が出ました。「この土地に1億数千万円積まれ売ることより、私は、喜んでもらえる百円の大根を作るのが良いんだ」と語られたと紹介されました。これこそ農家の本分ではないかと思います。
田中正造は、成田の農家と同じように、農業者の本分を守ること、彼自身が農業の後継者だったとのではと、上記の書簡の内容から考えています。
上記の書簡後、天皇直訴の方向へ進むのですが、これから先は長くなるので省きます。
まだまだ勉強中で、みなさんに詳しく説明できないのですが、田中正造研究会は、「人は何のために生きるのか色々考える」良い機会になっています。
田中正造の「真の文明は、山を荒らさず、河を荒らさず、村を破らず、人を殺さざるべし」は、何時の時代にも忘れてはならない言葉ではないかと思います。
私自身が、まだ深い理解まで至っていないので、ご質問の説明になっているかは、かわりませんが、ご容赦頂ければ幸いです。
宇土市 野口修一
*参考資料:由井正臣・小松裕編「田中正造文集」(一)鉱毒と政治
(岩波文庫)
*06年秋に、田中正造の映画「赤貧洗うがごとき」~田中正造と野に叫ぶ人々~ができ、全国各地で上映会が開催されています。もし近くで上映される時は、足を運んで頂けるとありがたいです。
熊本は、06年12月に上映会を開催しました。新聞でも、大きく取り上げて頂きました。
メールマガジンで川辺川問題を語る「川辺川ML」に書いた、日記に質問がきました。
内容は、明治期に起きた「公害」である足尾鉱毒事件の解決に奔走した田中正造の事に質問が来ました。何かの機会ですので、返事を転載します。
<質問内容>
野口様
田中正造についてお尋ねしたい事があります。
それは、豊かな生活を投げうって民衆のために奔走した田中正造の、亡くなったときの持ち物に「名も無き路傍の石」が数個あったと聞きました。民衆のために私財を全部投じ、極貧の中に身をおいた田中正造にとって、この石がどのような精神的支えになっていたのか、です。個人的見解での解釈を(簡単に)お願いしたいのですが。
<質問の回答>
おはようございます。 熊本の野口と言います。
メッセージありがとうございました。
>田中正造についてお尋ねしたい事があります。
今、小松裕氏を囲む「田中正造研究会」に参加して、田中正造と友人たちとの間で交わされた手紙を基に、田中正造の考えの展開、発展を勉強しています。
>それは、豊かな生活を投げうって民衆のために奔走した田中正造の、亡くなったときの持ち物に「名も無き路傍の石」が数個あったと聞きました。
>民衆のために私財を全部投じ、極貧の中に身をおいた田中正造にとって、この石がど個人的見解での解釈を(簡単に)お願いしたいのですが。
先週土曜日の輪読の中で、出て来たのですが、次の言葉を紹介します。
(本分より)
庭田源八宛書簡 明治32年12月3日
・・・鉱毒事件この度、請願の大要ハ、人を殺すな、渡良瀬川の水を清め、すべての天産を復活せよ、と云ふ。にあり。その他ハ皆この中に含める趣旨ニテ、右天産と水ト人殺しの三箇条二過ぎず候。(中略)
鉱毒事件で古河、国に求めた3つの要求は、
・人を殺すな
・渡良瀬川の水を清め:水をきれいする
・天産(天の恵み)を復活する:元の農地に戻す
今の水俣病の問題と良く似ています。また次の一文から、田中正造の志(思想)が、少し理解できると思います。
(本分より)
井田兵吉宛書簡 明治33年1月21日
・・・。依ってこの問題は全く人に尽くすにあらず、天に尽くす問題の候。つまりは晴天白日の時にも至り申候間(あいだ)、かねて難儀の御覚悟こそ御大切に候。但し天産論より推せば、沿岸の損害は数億万円にも登り申候。(中略)
依ってはそれまでのところ、貴下我々には天より命令を受けて、それこの鉱毒問題に当たるものなり。実は人生必用の必用中の義務なり。これに当たりて倒る々との本分なりとせば、また壮快に覚え申すべく候。貴下必ずこの壮快を覚ゆるものなり。(中略)
田中正造は、篤農家に生まれ、生活苦はなかったものの、本文にあります「全く人に尽くすにあらず、天に尽くす問題」からも判るように、至誠一貫の理念を基にする行動した良心の人ではなかったと推察しています。
先週の勉強会でも意見が出たのですが、維新・明治期の志士の代表格の西郷隆盛の座右の銘と言われる「敬天愛人」は、同じ思いを伝える言葉ではないかと思います。
田中正造、「天を敬い、人を愛する」、これを生涯実践した人だったのではと考えてます。
「これに当たりて倒る々との本分なりとせば、また壮快に覚え申すべく候」
武士(農民)の本分と言うか、志のような気がします。
先週の勉強会中、小松裕氏とのやり取りの中で、成田空港の滑走路に農地を持つ方の話が出ました。「この土地に1億数千万円積まれ売ることより、私は、喜んでもらえる百円の大根を作るのが良いんだ」と語られたと紹介されました。これこそ農家の本分ではないかと思います。
田中正造は、成田の農家と同じように、農業者の本分を守ること、彼自身が農業の後継者だったとのではと、上記の書簡の内容から考えています。
上記の書簡後、天皇直訴の方向へ進むのですが、これから先は長くなるので省きます。
まだまだ勉強中で、みなさんに詳しく説明できないのですが、田中正造研究会は、「人は何のために生きるのか色々考える」良い機会になっています。
田中正造の「真の文明は、山を荒らさず、河を荒らさず、村を破らず、人を殺さざるべし」は、何時の時代にも忘れてはならない言葉ではないかと思います。
私自身が、まだ深い理解まで至っていないので、ご質問の説明になっているかは、かわりませんが、ご容赦頂ければ幸いです。
宇土市 野口修一
*参考資料:由井正臣・小松裕編「田中正造文集」(一)鉱毒と政治
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Posted by ノグチ(noguchi) at 10:23│Comments(0)
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