(都市再生)「輝ける都市」と「アメリカの大都市の死と生」

2008年04月30日

(都市再生)コルビジェの「輝ける都市」と「アメリカの大都市の死と生」

 今日は、まちづくりの話題を書きます。

 20世紀で最も著名な建築家の一人、ル・コルビジェ氏は、戦前に様々な提案をしました。人間が生きて行く基本寸法や、輝ける都市の考え方、建築用語の沢山後世に残しています。ごく一般に知られる言葉に、「ピロティ」は、コルビジェの造語と言われてます。
 しかし、この「輝ける都市」の理論が、盛会を席巻する中で、環境破壊と犯罪の増加が広がって行きました。

 フィラデルフィア市の例をとると、コルビジェの「用途地域(ゾーニング)」の考え方で、建物の用途が地域で分類されたおかげで、昼夜の人口が極端に違い、広大に公園都市の閑静な公園で、多くの殺人事件が起きた現実を見る事になりました。

 この矛盾を指摘したのが、「アメリカの大都市の死と生」を書いた、ジェーン・ジェイコブス氏です。 


・「輝ける都市」
 大公園を通って、私達の乗った自動車は、超高層ビルの間の高架の自動車用道路を走りぬけ、町の中心には行政の建物が左右に並び、その周辺には、美術館、大学の建物が散在する、都市全体が公園そのものである。
自動車を中心とし、ガラスと鉄筋コンクリートの高層建築に代表される、美しい幾何学的なデザインをもち、芸術性をもっている。(中略)


・ジェイコブス氏の考える都市の4大原則
1.都市の街路は、必ず狭くて、折れ曲がっていて、一つひとつのブロックが短くなければならない。
2.都市の各地区には、古い建物ができるだけ多く、残っているのが望ましいという考え方。また、「新しいアイデアは、古い建物から生まれるが、新しい建物から新しいアイデアは生まれない。」と言葉を残している。
3.都市の各地区は、必ず2つ以上の働きをするようになっていなければならない。
4.都市の各地区の人口密度が充分高くなるように計画した方が望ましい。

 これまでの都市の考え方を全面的に否定して、人間的な魅力をそなえた、住みやすく、文化的な香りの高い都市をつくるために、有効な考え方であることは、「アメリカの大都市の死と生」が出てから40年の間にはっきり示された。(中略)


 未だに日本は、「用途地域(ゾーニング)」の考えで、都市計画が進められ、地方でも犯罪が増え続けているように感じます。

 多用途の都市集中には、土地の利活用で日本は、「個人所有」が強く、平面的な広がりが見えます。ヨーロッパは、都市国家と言われるように、密度濃く住まう習慣があるので、環境共生と防犯都市の考え方が浸透していますが、日本はこれからも改善が進まないように思います。

 小泉首相の都市再生で、いくつか試みが出されましたが、今だに行政は用途地域の考えで、都市の地図を描いています。
 環境共生と防犯都市の考え方を主眼に、人間的な魅力をそなえた、住みやすく、文化的な香りの高い都市に再生する動きを、市民側から社会へ働きかけることが必要と思います。 
*参考資料:宇沢弘文著「経済学と人間の心」より



<以前の日記>
・(ガソリン税)閣議決定の前に、国民への説明責任を果たすべき
 ■道路財源 5月12日にも「延長」





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Posted by ノグチ(noguchi) at 22:26│Comments(0)建築・都市
 
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