奈良訪問、「柿食へば鐘が鳴るなり法隆寺」(正岡子規)、他

2010年01月31日

奈良訪問、「柿食へば鐘が鳴るなり法隆寺」(正岡子規)、他

 先週、子どもの大学受験に同行して、34年ぶりに奈良に行きました。試験の前日に着き、時間が有ったので、東大寺、春日社、国立博物館、興福寺、等々、散策をしました。
 平城京の鳥瞰図が、近鉄奈良駅脇に掲示してあったのですが、1300年の古都の風情を感じることができました。

・法隆寺を訪問
 翌日、大学の試験に臨み、終わった後少し時間が有ったので、大阪へ向かう途中で、法隆寺を訪ねてみました。

 1400年前の古都、政界遺産にも登録された古寺は、当時のようにそこにありました。広大な伽藍の全容は、絵でしかわかりませんが、立軸と横軸の広い通路を中心に、バランス良く配置され、平日でしたが、国内外の観光客がけっこう多かったと思います。

 高校の修学旅行以来で、高校時代は、歴史に勉強の一貫だったように記憶があります。久々に行き、建築士としての視点だけでなく、日本人の歴史のルーツの一つとして、見れる年になったと思います。久々の古都は、心を静かに、自分と語る良き機会になったように思います。


・法隆寺と正岡子規
 法隆寺と聞くと、正岡子規の名句、

「柿食へば 鐘が鳴るなり 法隆寺」

ですが、秋に寂しさを表していると思います。昨秋から、正岡子規と仲間をテーマにした司馬遼太郎著「坂の上の雲」がテレビドラマ化され、子規の破天荒な青春時代を過ごした様子が描かれていますが、青年期に病(結核)を煩い、若くして世を去ります。

 たぶん病が深刻になって来た頃の作品と思いますが、次の句が印象に残っています。

「いくたびも 雪の深さを 尋ねけり」

(解説)
 たいして間を置かずに、幾度も幾度も雪の深さを人に尋ねています。さっき告げたばかりなのに、そうそう度々訊かれても、雪はそんなにすぐには積もらないのに・・・。尋ねられた方もの微苦笑が見えて来るような一句です。(中略)

 しかし私たちは読者は、純白の雪の背後に一抹の翳(かげ)りをまた見出すのです。掲句が作者である正岡子規の病床吟であることを知ればなおさら、童心の返って雪にははしゃぐ子規の姿に、悲しみを覚えずにはいられないのです。(中略)
 (以上、黛まどか編著「知っておきたい この一句」)

 
 子規は、結核菌が骨に入り、カリエスを併発しました。子規を献身的に看取ったのは、母と妹でした。雪の深さを何度の尋ねたのは、残りわずかと知った命を前に、自らの足跡を確め、反芻(はんすう)しているかのように感じます。


・志賀直哉の旧宅
 大学施設を見学していて、「暗夜行路」の著者、志賀直哉の旧宅が在ることを見つけ、見学をしました。昭和初期に、志賀直哉が自ら設計した和風建築で、モダンな生活を様式も加えた素晴らしいものでした。
 当時は珍しいサンルーム、ダイニングルーム、などなど、現代でも十分使える住宅でした。今は、大学のセミナーハウスとして改修され、公開されていました。


 古都に行くと、色々なことを思い出し、またこれまで人生を振り返る機会になったとに思います。丸2日間、子どもの受験同行と言う名目でできた休日は、色々なことを考えた旅になりました。 

*参考資料:黛まどか編著「知っておきたい この一句」


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Posted by ノグチ(noguchi) at 10:42│Comments(0)マイライフ
 
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