「政治」とは、「会話」と「伝統」が合わさった活動の継続

2014年03月31日

「政治」とは、「会話」と「伝統」が合わさった活動の継続

昨日、宇土市長選挙が終わりました。以前に、mixiのコラム「ケネディの言葉」に、2009年12月25日 07:12に書き込んだ文を思い出した。苅部直教授は、熊本の幕末の政治思想家の横井小楠の研究者で、4年前の秋に、熊本で講演をしていただいた。

(以下、「ケネディの言葉」より転載)

 20世紀のイギリスの政治哲学者、マイケル・オークショットは、政治という人間の営みについて、下記のように語っています。以下、苅部直著『移りゆく「教養」』より抜粋、

(以下、本文より)

 かくて政治活動においては、人々ははてしなく底も知れない海を行くのであるが、そこには、停泊できる港もなければ、投錨するための海床もない。また、出航地点もなければ、目指す目的地もない。そこでの企ては、ただ舟を水平に保って浮びつづけることである。海は、友でも敵でもあり、船乗りの仕事は、行動の伝統様式という資産をうまく使いこなして、すべての敵対的状況を友好的なものへ転化することなのである。(オークショット、1951年講演「政治教育」)

また、「政治」に関してオークショットは、他の講演で、

「偶然もくしくは選択によって一緒になった、人々の何らかの集まりについて、それをまとめている決まりごとに、関心を持つ活動」

 これは、国家を単位とする、官僚や政治家の活動のみに限らず、さまざまな規模の交流範囲で、人が他者とかかわり、何らかの形で秩序を運営していく行為を、広く含んでいる。 
「政治」の営みは、引用にあるとおり、不安的にゆれうごく海面に浮かびながら、定まった航路もないままに、舟を水平に保ってゆく仕事と同じように、不確実で変化に富んだ状況に対応しながら、一つの人間集団のまとまりを維持する作業である。(中略)

 人々は、何らかの「決まりごと」が、お互いを結ぶ前提として、すでに備わっている集団に加わり、その運営の改良にかかわる営みを、偶然の動きに翻弄されながら、続けてゆく。
 そのさいにゆるやかな指針となるものが、この「政治」の活動に関する「伝統」なのである。時期により姿をしなやかに変えゆく「伝統」を、人は「政治」の実践にかかわりながら身につける。そして「会話」を通じて、それを他者と云えあい、その隠れた意味を見いだしてゆく。ここでは、「伝統」と「会話」とが、「政治」を支える鍵になると言えるだろう。(中略)
 (以上、苅部直著『移りゆく「教養」』より)


 政治と聞くと、特殊な能力を持つ人たちがやる行為や活動のように、一般の人はイメージしますが、日常茶飯事に起こる人と関わる行為の決まりごとを決めることなのです。

 人が何かの目的に集まることは、それぞれが要望を持っているから、集まります。その目的は、多種多様な思いを持っているので、全部を実行することは不可能です。
 そこで、会話を通じ、共通点を探し出し、対峙する相手また状況を打開するために、意識を共有し、方策をまとめる行為が必要です。その会話、行為(活動)が、政治的な行為を続けることなのだと思います。

 大きな単位行けば、地球。
 小さな単位では、家族(夫婦)。

日常の政治論議では、自治体とか、国家が、議論の対象になりますが、日々の暮らし、企業運営等でも、政治的行為がとても重要になって来ます。

少ない私の経験と知識を合わせて考えるに、経験から「政治」とは、「会話」と「伝統」が合わさった活動の継続のように思っています。

*参考資料:苅部直著『移りゆく「教養」』


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Posted by ノグチ(noguchi) at 22:35│Comments(0)私の意見哲学、人生
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