世界に通用する人:大義を四海(世界)に布かんのみ~横井小楠~

2009年03月25日

世界に通用する人:大義を四海(世界)に布かんのみ~横井小楠~
               裏庭の桜、満開近し


世界に通用する人:大義を四海(世界)に布かんのみ ~横井小楠~

2年前、BSの民放で、石原慎太郎知事と故筑紫哲也氏の対談を思い出した。テーマは民主主義でしたが、その対談の一人がフランス出身の方で、フランスの官僚になるために最後の試験の話をされました。
 所謂、口頭試問でやるそうなのですが、一般教養の試験中に全然関係ない、恋愛問題とか、地球物理学の話とか、急に質問されたも答えようがない質問だそうです。それは、なぜか?

 全く予定外の問題が出来た時の心構えを見ることだそうです。一般教養は、勉強すればある程度のレベルまで行き着きますが、天変地異や事件に対応する時に、冷静に長期の視野も、短期の処理も考え、即断して行く「見識」と「勇気」を備えているかを見るそうです。
 これで動揺するような人は、官僚の上層部にはなれないし、まして外交官などには、採用されないと話されていました。

 私は、幕末の思想家横井小楠先生の足跡を、師の手伝いをしながら学んで来ました。小楠先生の有名な漢詩があります。横井小楠先生の甥の横井左平太が留学する時に、送別時に送った有名な漢詩です。

 送左大二姪洋行   横井小楠

明堯舜孔子之道     堯舜孔子の道を明らかにし、
尽西洋器械之術     西洋器械の術を尽くす。
何止富国         何ぞ富国に止まらん、
何止強兵         何ぞ強兵に止まらん、
布大義於四海而巳    大義を四海に布かんのみ。

有逆於心勿尤人     心に逆うこと有るも人を尤むること勿れ、
尤人損徳          人を尤むれば徳を損ず。
有所欲為勿正心     為さんと欲する所有るも心を正(あて)にすること勿れ、
正心破事          正にすれば事を破る
君子之道在脩身     君子の道は身を脩むるに在り。


 私は、詩の前半部を横井小楠顕彰事業の先輩たちから何度も聞かされ、とうとう暗記してしまいました。

 しかし、陽明学を学ぶようになり、幕末の志士たちの「志」と「行動」を知るな中で、漢詩の後半にこそ大事な修養の教えが有り、それを自覚して「しっかり勉強しなさい」に叔父(小楠)としての思いがあると感じます。
 私の陽明学との出会いとなった山田方谷先哲も、小楠と同じく江戸後期のの儒家・佐藤一斎に師事しました。

 横井小楠先生の「大義を世界に広める」は、先ず自分自身の脩(修)養が大事と説いています。
 人としての高い志と学問を積み重ねることを怠らず、世界の情勢を知り、自分で考え識見する力を付け、世界に通用する人物になることを、後世の人々に伝えたかったのかもしれません。

 明治時代の志士たちの活躍は、個人個人の志の高さと、学問の深さによるところが大きいと思います。今回のWBC優勝のように世界で活躍する人物が、日本からどんどん出てくることを願っています。


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Posted by ノグチ(noguchi) at 08:10│Comments(0)私の意見
 
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