【正論】「マスコミの常識」は非常識(慶応大教授・阿川尚之) 

ノグチ(noguchi)

2008年05月20日 07:35

【正論】「マスコミの常識」は非常識(慶応大学教授・阿川尚之) 

 昨日の地元紙の夕刊で、企業紹介のコーナー「バリバリ働く仲間」に、私の事業所(設計事務所)が
紹介された。これまで続けて来た、異業種交流会11年の活動へのご褒美でしょうか。

 さて、2年半前に、友人が勤務する中学校で刃物を使った事件があり、一人に少女がケガをした。学
校内の事件で、多くの報道陣が殺到し、田舎町に大きな騒動が起きた。

 カメラとマイク片手に、相手ことはかまわず、取材攻勢で、友人の中学校には昼夜問わず電話が鳴り
続けたそうです。マスコミの常識は、世の非常識と言われる経験をしたと閉口していました。教頭は、
丸2日一睡もせず、電話の対応をしたそうで、子供心や地域の不安を無視するマスコミ行動に、怒りを
ぶつけるように話してくれたを思い出します。

 その事件の2日目から、地域が一致協力して、中学生全員を自宅から学校まで送迎し、子供たちへ
取材をさせない工夫をすると、今度は地域の住民へ夜遅かろうが関係なく玄関を叩いたテレビ局も居
たそうです。報道と言う、錦の御旗はなんでも出来ると誤解していると感じます。

 産経ウェブの「正論」次にコラムがありました。

【正論】慶応大学教授・阿川尚之 「マスコミの常識」は非常識
http://sankei.jp.msn.com/life/trend/080508/trd0805080326000-n1.htm

(本文より、転載)
≪基本知識にも欠ける≫

 ただ新聞は文章が残る分、ずいぶん細かく神経を使っている。テレビは垂れ流しだから、安易な正
義感や陳腐なことばで息苦しいほどだ。政府や企業に「猛省」を促し、役人や企業人の堕落を「慨嘆」
する報道ステーションの某など、基本的知識の欠如、大仰な言葉や身振りばかり目立ち、見るに堪
えない。横に座るジャーナリストは恥ずかしくないだろうか。

 それでもお粗末なワイドショーやニュース番組が跋扈(ばっこ)するのは、視聴率さえ高ければスポ
ンサーが大金を払うからだ。内容など気にせず、広告の効果のみを基準に番組を提供する企業の責
任は重い。

 むろん非常識は政官産学、どこの世界にもある。私が奉職する大学だって非常識がうようよしてい
る。ただ、マスコミはそうした非常識を衝くのを商売にしていながら、自らの非常識を問われることが
少ない。よく書かれたい報道されたいと願う企業や官庁が、マスコミ批判をじっと我慢しているのに
気づかない。(中略)

 もちろん物書きとして、私も同様の責任を負っている。自分の書いたものが思わず人を傷つけたこ
とが何度かある。だから一層、言論活動に携わる者は自分の常識を疑ってかからねばいけない。そ
う自戒する。心ある多くのジャーナリストにも気をつけてほしい。(中略)


>視聴率さえ高ければスポンサーが大金を払うからだ。内容など気にせず、広告の効果のみを基
準に番組を提供する企業の責任は重い。

 スポンサー企業の責任は、とても大きいと思います。
テレビ報道は、国民意識の常識レベルに影響を与えると思います。他国の放送の良いところを採
用し、マスコミの常識、国民意識を、向上させるような番組に日本の優良企業がスポンサーとして
支援をして欲しいと願いのは、私ばかりではないと思います。

 企業関係者が、「この番組はすごいから、見て欲しい」と言えるような番組が日本に増えうると良
いなと願っています。


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